W N T R A S A P

He who waits for winter, storing nothing

Dotour

明けない夜は無いとしても、ゴーストタウンの朝にドトールは開店しているのだろか

(梢はすか、2020)

10月末の仕事帰り、円山町のユーロライブでコントライブを見たあと渋谷駅に戻るために通り抜けできる商業施設を歩いていたら、タリーズコーヒーがまだ営業中だった。街が、コロナ禍以前の様子を少しずつ取り戻していた。それで今朝妹のツイッターを覗いたら、なまやけさんが「仕事終わりに映画観てもドトールやってるの泣きそうになる」と呟いていたので、心底同意した。ある層にとって、チェーン喫茶が店を閉めた街というのは、生活をひっくり返す異常事態そのものである。中でもドトールはもっとも庶民的でなじみ深い店名といえるだろう(ブレンドコーヒーの値段がその店の敷居の高さと同義であるが、ドトールより安い店はベローチェくらいだ)。冒頭で引いたものを含め、2020年の3月から4月にかけての自分のツイートを編んだものが今も残っている。たしか作家の樋口恭介がそういう作文をnoteでやっていて真似したんだったと思う。それを読み返すと、自分はインドア気質だからべつに自粛期間も精神を病むようなことなんてなかったような気がしているけど、しっかりイラついていた様子が克明に記録されていて面白い。フィルターバブルの泡風呂に首まで浸かったご意見番気取りとバトったりした。当時イラついた事案どもがツイッター上では一生解決しないと思い知ったので、アカウントはもう妹に譲ってしまった。ツイッターという環境はどうやら、逆接を二つ以上含むような難解な文章を理解する力をユーザーから奪うらしい。