W N T R A S A P

He who waits for winter, storing nothing

Millennium

「なんだよ、結局アミダじゃないか」

「俺の集積回路。縦の線は俺の意思、横の線は天の意思」

(『私立探偵濱マイク』第1話)

8月後半はアマプラで『濱マイク』を全話見ていた。『木更津キャッツアイ』と同じ、2002年のテレビドラマ。どちらにもイケイケの酒井若菜が出ているし、若かりし阿部サダヲが出ている。リアルタイムで放送されていた頃は小3かそこらで、セックスも当然風俗嬢も何か知らないで、母親がカセットテープに吹き込んだ『くちばしにチェリー』の格好良さだけよくわかっていた。いかがわしい横浜黄金町界隈の風景は警察の浄化作戦によって失われてしまった。同年代の友達と最近話すのは、自分たち90年代前半生まれがたぶん辛うじて昭和の感覚を残している最後の世代だろうということ。2002年は平成だけどまだ全然昭和の延長線上だったと思う。自分たちより下の世代は、もはや『濱マイク』を見てもシンプルに意味の分からない描写が多くて、ピンとこないんじゃないだろうか。第3話に登場する岸田今日子はまず間違いなく娼婦のメリーさんで、プラス『傷だらけの天使』リスペクトでもあるだろうけど、その辺の周辺知識がなかったら単に道に立っている謎の綺麗なお婆さんだ。光浦靖子がマスクを脱いだら杉本彩に変身するギャグなんて、今同じことをすれば顰蹙ものだろう。だからどうこうと言いたいわけではない。Mステのt.A.T.u.がドタキャンした穴をミッシェルが埋めたのが2003年。やはり当時はわかっていなかったけど、あれはミッシェルも正しかったし、t.A.T.u.もまた正しかったのだ。たとえ趣味が悪いと言われても、2000年代を愛している。