W N T R A S A P

He who waits for winter, storing nothing

Grip

僕には旅に出る理由なんて何ひとつない
手を離してみようぜ

くるり「ハイウェイ」)

必ずしも長い感想を書く必要はないのかもしれない。自分はべつに「言葉」の人間ではないんじゃないか、と思うが、それ以外ではもっとなさそうであり、つまるところ「怠惰な「言葉」の人間」なのだろう。怠惰というより、体力がない。それを補う情熱にも乏しい。体力を付けるための行動に意欲が湧かない。そのような制約条件下で30年近くも生きていれば、精神のほうも自然と、それに適応したかたちに仕上がってくるというものだ。わたしは握力が成人男性平均を下回って弱いが、心の握力も同様に弱い。大事だと思ったもの・ことにしがみついて、しがみつき続けて血を流すくらいなら、ぱっと手を離したほうが解放的だ。手放すことにも痛みは伴う。時間が経てば薄れてゆく。でもそろそろ、握力を鍛え直さないと、この先碌なことにならない予感がしている。風船ひとつ引き留めておくほどの自信すら失くす前に。